Saturday, February 18, 2006

シェップ

 トラックの荷台から飛び降りた時には少々後ろ足にふらつきをみせていたシェップ@11歳は、 "bring'em to me" の号令がかかると、見事なアウトランで藪や岩陰に隠れていた羊を次々と追い出しながら地平線へ消えて行った...と思った次の瞬間には、羊の群れが土煙をあげながらこちらに向かって走ってきます。その後方に豆粒のようなシェップの姿を見止めたときには、なんだか背中がゾクゾクしてしまうほど興奮したよ。
 182匹の羊を2分足らずで集めてきたシェップは、先頭の羊から目を離さず、しかし、石壁に隠れてカメラを構えていた夫の姿に気づいたようで 「怪しいやつがいるよ。どうする?」 と目でちらちらと合図を送ってました。おじさんが頷くと安心して仕事を続行。

 丸くまとまった群れからおじさんが離れると、羊が2、3匹づつおじさんの方へ走っていきます。数を数えるおじさんの対角線上に構えたシェップは、通過する1匹1匹に目を光らせています。選別もこんな風に行われるそうで、おじさんが合図した羊を群れから切り離し、病気や怪我をした羊を見つけると連れてくるんだそうです。

 「コマンドは幾つくらい知ってるの?」
 「Oh, many」
 「何種類くらいの仕事ができるの?」
 「Oh, too many」

 こんな風に、目で会話を交わしながらの仕事は、幅が無限に広がっていくのかな。

 羊って全力で走ると速いんだね〜! おどろいた。
 暴走羊を追いかけるシェップの加速は、若犬みたいにターボエンジンがかかる。並んだ瞬間に「ギロッ」と睨みを利かせて追い抜いていく...

 肩で荒い息をしながら戻ってきたシェップは、桶の水を少し飲んでトラックの荷台に飛び乗り、私たちは次の放牧場へ向かいました。

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