Saturday, February 18, 2006

クロちゃん

みわファームは村のはずれに位置するんですが,何かと理由をつけて訪ねてくださるご近所の方が絶えません.
世間話をしたり,くず野菜を持ってきて下さったりと用事は様々ですが,視線は一様に牧場と家畜たちの方に向けられています.今は家畜を養う家が少なくなったとはいえ,やっぱり,動物好きの人は多いんですね.

その中で一人,ファームの入口の手前まで散歩に来て,特に挨拶するでもなく元来た道を引き返していくおっちゃんがいます.
連れはいつも黒い犬.
本名かどうか知りませんが,村の人からは 「クロちゃん」 と呼ばれてます.
日本犬にシェパードの血でも入っているのでしょう,身体が大きくて堂々としています.

おっちゃんは,仕事場の畑まで軽トラで通っています.
クロちゃんはいつも助手席を独占して通勤のお供です.
おっちゃんが畑仕事している間,クロちゃんはそのまま車に残ってお留守番をしています.
そして夕方になって仕事が終わると,おっちゃんと一緒に付近をのんびりと散歩します.
気が向いたときは,少し離れたみわファームまで足を延ばすというわけです.

クロちゃんはいつも落ち着いています.
子供たちが車を覗き込んでも平気だし,窓から手が入ってきて身体を撫でられてもじっとしています.
浅はかな(うちの)若犬が吠えかかっても知らん顔です.
おっちゃんは口にこそしませんが,そんなクロちゃんを自慢に思ってるようです.
「良い子ですね〜」 なんて言うと,ほんのちょっぴり目尻が下がってます.
無口なところがそっくりな二人です.

そうやって,朝から晩までずっと一緒のおっちゃんとクロちゃん.
実は車の中で一杯お喋りしてるんじゃないかと,密かに睨んでいます.

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実は、このクロちゃん、おっちゃんの犬ではないのだそうです。
前の飼い主さんがほとんどかまってやれないので、おっちゃんに預けているのだとか。
最初は、誰にも身体を触らせてなんかくれなかったそうです。大きくて黒いから本当に怖い犬だと言われていたそうです。犬も出会う人によってこれだけ変われるんですね。

そうそう、一度だけ軽トラに乗るときに、思いっきりシッポをドアに挟まれたんだそうです。身体中のどこを触っても怒らないクロちゃんですが、シッポだけはダメなんだそうです。

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