Saturday, February 18, 2006

天下のアキ坊

 秋田犬に似てるから 「アキ坊」 ,勝手にそう名付けました.

 山小屋から高原に向かう道路に面して,一軒の広い庭の家があって,その庭の一番道路際に,いつも鎖で繋がれっ放しになってます.

 ちょっと小さ目の 「これぞニッポン!」 という風情の犬小屋の前で,日がな一日座ったり寝転んだりしています.カンカン照りの暑い日も,雪が積もった寒い朝も,周りが明るいうちは小屋に入らず,ずっとその前に陣取っています.

 私たちは,その子がとても気になる...ってほどでもないんですが,これというものも無い田舎道なので,車を運転しながらよく眺めていました.あるときは完全に無視されたり,ときには胡散臭げな目で睨み返されたり,車のウィンド越しのつき合いが,いつのまにかもう3年になりました.

 ここまで読んで,アキ坊がしょぼくれた犬だと想像した人,ブッブ〜です.彼は思いのほか(ごめんなさい)カッコイイんですよ.
 顔ががっしりしてて,きれいな巻き尾.こちらを睨む目には力があるし,立ち居振舞いも堂々としてる.いつ運動してるのか知らないけど,身体にも張りがあって立派です.

 そういえば一度だけ,家族の人(多分お父さん)が外出から帰宅して,通りすがりにアキ坊の肩をポンポンと叩くのを見かけたことがあります.そのときの彼の嬉しそうな様子ったら...普段の威厳はどこへやら,という感じでした.

 それを見て,勝手に想像しました.
 群が大好きで,その群から愛され,そして自分が群の役に立っているという実感...そんな気持ちの充実が,アキ坊をカッコ良く見せてるんじゃないだろーか?って.
 車の中の私たちに向かって, 「オレはここの家族の一員だ.ここで見張ってるのがオレの仕事だい!」 とでも言って,胸を反らしてるのかもしれない.

 もちろん,繋がれっぱなしでしょぼくれて見える犬も山ほどいますし,例えばボーダーコリーが彼と同じような生活に満足できるとも思えない.

 でも結局は,本当に大事なのは 「飼い方(のカタチ)」 ではなく,もっと別のところにあるんだろうな.そんなことを感じさせてくれるアキ坊でした.

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