Saturday, February 18, 2006

ファームで暮らすナン

彼女の飼い主がこの農場を訪れたのは2年ほど前。
私に何かあったらこの犬を頼みます、と依頼に来てほどなく、飼い主は 彼女を残して逝ってしまったそうだ。

最初に連れてこられたときから、彼女はどこか臆病でおどおどしていて、 それが裏返って近づく犬や人に威嚇するような犬だった。
今でも急な動きで近づく犬に唸ってみせたり、大きな物音に ビクッと身体をすくめたりする。

前の飼い主が虐待したわけでも、叩いて叱ったわけでもないのに。
どこかで、ボタンのかけ違いがあったのだろう。
彼女は結局スポイルされて育ったのね、と農場主は言う。

そんな彼女に最初は近づくな、と言われた。
ナンがどういう行動に出るかわからなくてキケンだから・・・ という意味ではない。
"私が" どういう人間かまだよくわかっていなかったからだ。
彼女にとって良くない行動に出るかもしれないからだ。

言われたとおり、私はバックヤードで知らん顔して座っていた。
不審者であり侵入者でもある私をじっと伺っていた彼女は、何を思ったのか自分から近 寄ってきた。
そうだよね,本当はみんなと同じように、「あんた誰?」 「どっから来たの?」 って 聞きに来たかったんだよね。

急な動きをするとやっぱりビクッとするんだけど、3日目にやっと友達になれた。
頭をなでても、ブラシをかけても、気持ちよさそうな顔を見せてくれたね。

もちろん羊追いはできるけれど、ハンドラーが迷うとすぐに羊に歯を当ててしまうナン。
少し状況が変わるとすぐに心を閉ざしてしまうナン。
今度会うときまで私を覚えていてくれるだろうか。

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