Saturday, February 18, 2006

スカイ

 スカイに会ったのは、彼女が7歳の秋。

 一目見て、訪問先の主人から全幅の信頼を受けていることがわかった。私たちを客として受け入れてくれたけれど、全く媚びてこない、凛とした犬だった。(容姿はかわいらしい、白黒はっきりした長毛の小柄な子。)

 70頭ほどの羊をいとも簡単にドライビングして別の場所へ移動させ、ご主人が茶色い羊2頭を群から離したいと言えば、細かな指示も無いのに、自分から群の中に割って入り,その羊たちを追い込んでいた。

 その農場にはたくさんのボーダーコリーたちがいて、それぞれが牧羊トレーニングを行ったり、我々のような客に牧羊体験をさせてくれたりするのだが、スカイだけはどの犬が練習していようとも、自分のご主人が客と立ち話していようとも、ずっとその辺にいた。

 レスキューされた犬たちも見えるところにつながれていた。たぶん、体罰を受け虐待されてきたのだろう。心を開くどころか,震えながら見知らぬ人間を恐れていた。ご主人は、その犬にも我々を紹介してくれたが、そのときスカイは何を考えたのか、我々の周りに姿を現そうとはしなかった。
 人間は何一つ指示を出していない。
 彼女は自分自身の判断で行動したに違いない。

 ご主人が私たちを殺風景な丘へ案内してくれたとき、「一緒においで」と言われた彼女は、車にひょいっと飛び乗ったかと思うと、当然のようについてきてくれた。

 今年、彼女ははじめてお母さんになるかもしれない。
 彼女と仕事をすることがとてもいい感じになってきたから、この子のラインを残したいと思う、とご主人が言っていたから。

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